腸結核の現状を把握し, 診療に役立てることを目的に, 千葉県の医療機関134病院 (221科) を対象とし腸結核に関するアンケート調査を行った. その結果, 79病院 (101科) から回答され, 回収率は59.0% (47.5%) であった. 腸結核は9症例 (平均年齢55.3歳, 男 : 女=5 : 4) であった. 臨床診断名は, 腸結核5例(55.6%), クローン病2例, 大腸癌2例であった. 臨床症状は, 腹痛, 下痢など消化器症状が主であった. 9例中5例 (55.6%) に肺結核を認めた. 病変部位は結腸が多かった. 診断方法は, 内視鏡による例が多く, 血清診断が施行された症例は無かった. 治療は, 内科外科治療併用が4例, 内科的治療のみが2例, 外科的治療のみが2例, 不明1例で, 手術は, 回盲部切除術や右半結腸切除術が行われていた. 以上のことから, 肺病変を認めない患者の腹痛, 下痢などの消化器症状 (特にイレウス) を呈する症例でも, 鑑別診断のひとつとして腸結核を考慮する必要があると思われた.
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