本研究は、就労した自閉症生徒4事例に基づき、知的障害特別支援学校において、自閉症生徒の実態把握に基づく特性に応じた就労支援のあり方を検討した。対象者に共通した支援目標について評価を行った結果、コミュニケーションや社会スキルに関する力、就労意欲について、全員実習評価表の評価点の向上がみられ、1事例を除き、1年後の就労先の評価もよかった。結果から、次の3点が明らかになった。(1)アセスメントにより実態や自閉症の特性を把握し、課題への対応と強みを生かした指導・支援を行うことができた、(2)個別の教育支援計画を作成し、ニーズや支援目標について、本人・保護者と学校で共有し懇談を継続しながら取り組むことで、本人・保護者の就労への意欲や安心感が得られた、(3)自閉症特性に応じた支援として、進路学習や研修実習、自立活動の時間の指導が有効であり、実習先の選定や効果的な指示の伝え方は重要である。
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