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クエリ検索: "北條恒一"
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  • きのこ工場における設備投資の意志決定
    松山 正彦, 寺澤 泰, 堀部 和雄
    植物工場学会誌
    1996年 8 巻 3 号 181-192
    発行日: 1996/09/01
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    栽培方法によって差が生じる植物生産環境システムに対し, ファジィ数を用いた販売価格法を適用した.すなわち, 予測市場価格をファジィ回帰モデルとして求め, その見込み幅をモデルのメンバーシップ関数の値によって想定した.また1瓶あたりの収量は栽培技術の差により生ずる (下限値, 最確値, 上限値) からなるT.F.N型ファジィ数で表した.これらファジィ数で表した市場価格と収量を販売価格法に適用し, 投資の意志決定を行うことを提案した.
    まず, 過去におけるきのこ (ブナシメジ) 100gあたりの市場価格を用いて, 予測される市場価格を以下に示すファジィ回帰モデルとして求めた.
    X (Rp) = (130.72, 4.7189/ (1-h)) L- (21.250, 0.000) L ln (Rp-1981) (7)
    この予測式から1995年度すなわち単年度での100gあたりの市場価格 (円) を求めると, X (Rp) は (69.9, 74.6, 78.9) となる.一方100gあたりの生産原価 (円) は (40.1, 58.7, 99.5) である.両者の代表通常数の比較からこのシステムにおける投資は成り立つ.この2つのT.F.N.を図6に示す.この結果から, 生産原価が市場価格を下回る確率は75.5%, 同じ確率は9.8%となった.
    次に単年度でなく投資期間全体にわたって検討した.ここでは経営状態が一番厳しくなる初期投資額の全額が他人資本である場合を例にとり, 1995年以後15年間の市場価格を式 (7) から求め, 15年間の粗収入を算出して現金収支表を作成した (表1).さらにファジィ数で表した現金収入を次の式 (15) を用いて現在価格に直して評価した.
    Γn (α) =?ni=0 [Ii (α) / (1+Si (α)) i, Si (α) / (1+ii (α)) i ](15)
    現金収入は, 式 (11) を式 (18) に代入して得られた式P=QX- (γI+j (1-ε) I+G) ≧0の左辺から均等返済額を控除した額である.したがって賑売価格法からP≧0であるときに投資は成立する.Pから均等返済額を控除して求めた累積現金収入は, 収量が1瓶あたり160g以上であれば投資の対象となることを示す.
    市場価格の変動を予測することは難しく, クリスプな解析では適正な収益の予測が困難だった.ファジィ解析法によれば, 収益が過大あるいは過小な評価を受けることのないある程度の幅を持って予測できるので適正な収益を予測することができる.ここでは予測市場価格の見込み幅には一番広い状態を想定して将来にわたる投資の可否を検討したが, ファジィ回帰モデルのメンバーシップ関数の値を自由に設定することで, 幅広く経営状態を判断することが可能である.
    本報ではファジィ数を用いた予測市場価格と1瓶あたりの収量を用いて経営を分析したので, 従来行われてきたクリスプな値を用いた個別的な経営分析ではなく, 一般的な解析ができるようになった.
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