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クエリ検索: "北海道旭川聾学校"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • 前川 麻依子, 片桐 正敏
    発達心理学研究
    2023年 34 巻 3 号 131-144
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/13
    ジャーナル フリー

    聴覚障害幼児への発達支援では,手話や残存聴力を用いた早期からの言語支援のみならず,相互交渉を豊かにする関係発達支援が重要である。しかし多くの場合,十分な相互交渉の機会が得られにくく,言語コミュニケーションスキルの発達に大きな影響を及ぼす。本研究では,特別支援学校(聾学校)幼稚部に通う幼児1名と指導教員である第1著者との関係初期における相互交渉の様子を8か月に渡って記録した。相互交渉維持のために幼児からの応答をどう引き出すかについて,発話内容と非言語的サインに着目し,必要に応じて数値化して分析した。その結果,関係初期の頃にAから応答が得られた発話は模倣の促しや受け止めが多かった。それ以降は指導教員との間主観的な関わりによる関係発達や非言語的サインによる応答の合図や発話意図の理解の促しなどによって,質問などの発話に対してもAからの応答が増え,相互交渉に発展が見られた。聴覚障害幼児との関係初期において,間主観的な関わりによる二者の関係発達が相互交渉の発達プロセスに影響を及ぼし,その過程で「特定の身近な他者」となった大人による子どもの発達しつつある水準に沿った相互交渉の可能性があることを示した。

    【インパクト】

    本研究は,聴覚障害幼児に対して手話や残存聴力を用いた早期からの言語支援に加え,相互交渉を豊かにする関係発達支援について,幼児の応答を引き出す関わりについて検討したものである。関わり手の発話内容と非言語的サインに着目し,幼児の応答タイプを分析することで,効果的な関わり方を検討した研究は,本邦でも極めて報告が少ない。加えて,質的な分析も加えることで,関係発達支援に必要な支援者の関わりについて示唆を与えるものである。聴覚障害幼児との関係初期において,間主観的な関わりによる二者の関係発達が相互交渉の発達プロセス影響について示した本論は極めて稀少な研究と言える。

  • 楠見 友輔
    特殊教育学研究
    2016年 54 巻 4 号 213-222
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/19
    ジャーナル フリー
    本稿では、異なる学校や学級に在籍する障害児と健常児の直接的交流を射程とし、わが国の交流教育に関する研究の課題と今後の展望を示した。筆者は交流教育の先行研究をその目的によって、1. 交流経験とその効果の関係を検証する研究、2. 交流の実施状況や交流に対する意識の実態の調査、3. 実践の開発を志向した事例分析、4. 交流計画や実践の報告の4領域に整理し、その知見をまとめた。今後の展望は4点に整理された。第一は、形式・内容・構造の違いによる目的・効果の差異を考慮することである。第二は、集団間接触理論の知見との結合により、効果的な交流の条件を解明することである。第三は、事例研究と態度研究の併用によって、交流の過程と効果の関係を明らかにすることである。第四は、障害児と健常児の交流機会を継続的に確保し、全学校種・障害種における交流の効果や有効な方法を検討することである。
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