【目的】非療育専門医療機関における発達障害児への療育の可能性と課題を検討した. 【方法】平成21年4月〜30年9月に当院の神経発達外来を受診した発達障害児506名 (乳幼児367名, 就学児139名) の受診転帰, 診療内容等について調査した. 【結果】乳幼児で1年以上通院する群では, 1年未満で終診となった群に比較し通園施設等で個別支援の必要性が高く, 行政や福祉サービスの利用者も多かった. また, 診断告知や発達評価, リハビリテーション科での作業療法や言語療法等を行う割合も多かった. 1年未満の自己中断者の約7割は, リハビリテーション科通院も中断しており, 特に外国籍の中断率が高かった. 就学後初診群では, 診断や薬物療法などの医療ニーズがある児が多い一方, 11%が精神科等へ転院となっており, 院外職種連携も, 乳幼児61%に対して就学児27%と低かった. 【結論】療育の受け入れ先として, 非療育専門機関も十分に介入の可能性がある. ただし, 教育分野や児童精神科との連携が必要な就学児診療や地域連携を中心とした支援など, 非療育専門機関の業務の中では対応しきれない点もある. また, 乳幼児への介入においては, 非療育専門機関で質の高い療育を維持するには先の見通しが必要であり, 各行政機関が, 地域特性を鑑みた多様な家族のニーズや医療資源の実態を把握し, 連携役と医療資源の有効活用のための方策を導く必要がある.
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