【緒言】あん摩、 マツサージ、 指圧、 はり師、 きゅう師等に関する法律12条にある
医業類似行為
とは何か。 あん摩、 マッサージ、 指圧、 鍼、 灸は医業に含まれるのか。 以上の問題意識から、 本論では
医業類似行為
を検討した。 【対象と方法】まず議論の前提となる医業を明らかにした。 次に同法条文の文言解釈を行った。 さらに文献・厚生省通達・判例を整理し、
医業類似行為
の輪郭を描写した。 最後に医療制度における
医業類似行為
の位置付けを、 医師法との関係、 医業との比較から検証を行った。 【結果】医業について、 通達や判例等から現在では 「医療関連性のある行為」 であることを前提に 「医師が行うのでなければ保健衛生上の危害が生ずるおそれ」 があるものと定義できた。 同法条文の文言解釈から、 あん摩、 マッサージ、 指圧、 鍼、 灸は
医業類似行為
に含まれるという解釈が自然であると結論付けられた。 文献・通達・判例を整理し、
医業類似行為
の理解、 解釈は、 時間とともに内容が明確化、 精緻化され、 最新の通達、 判例から、 現在、 あん摩、 マッサージ、 指圧、 鍼、 灸は
医業類似行為
として法運用が行われていることが確認できた。 医師法との関係、 医業との比較から
医業類似行為
を検証し、 あん摩マッサージ指圧師、 はり師、 きゅう師の施術は基本的に
医業類似行為
として分類されると結論付けた。 【考察】以上の整理、 分析から、 あん摩、 マッサージ、 指圧、 鍼、 灸施術を含む
医業類似行為
は、 いわゆる医療の一分野であるが、 医師の行う治療と比べて極めて限定的で、 条文解釈上も、 また厚生省の見解や判例からも、 医業とは異なる特別なカテゴリーとして医業と住み分けがなされている。 高度化した医療の一翼を担うためにも 「医業」 の進歩に歩調を合わせ、 「
医業類似行為
」 者として進歩と深い医学的な見識が求められる。
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