1,はじめに
医療
の現場では、安全管理の必要性が重要視されているのはいうまでもないが、安全管理を確立するための方法として事故報告書の記載も定着してきている。当院でも、報告書の記載はされているが、それを分析し現場に返す課程が滞っていた。今回、報告書内容の統一と、データ分析を容易にする目的で「事故報告書集計ソフト」(以下、集計ソフト)を作成した。その、集計ソフト作成までの経過及び内容を紹介する。報告書で得られた結果を財団法人日本
医療機能評価機構医療
事故防止センターのデータと比較したので、その結果と今後の課題について報告する。
2,当院の概要
病床数 199床
外来診療数 12科
病棟数 4病棟
職員数 282名
職員の平均年齢 41.1歳
職員の平均経験年数 13.5年
3,集計ソフト作成の経過
2006年1月から検討に入り、4月より使用を開始した。幾つかの修正、追加を行い10月完成に至る。
4,集計ソフトの紹介
1)基本情報
2)事故の経過・考察
3)事故原因分析
4)リスク委員評価
5,比較結果
2005年10月1日から同年12月31日までに、財団法人日本
医療機能評価機構医療
事故防止センター(以下センターとする)に報告された44,266件の報告データと、2006年4月1日から2007年3月31日までに提出された三条総合病院(以下当院とする)の事故報告書、463件のデータにおいて、_丸1_発生曜日_丸2_発生時間帯_丸3_当事者の職種経験年数_丸4_当事者の部署配属年_丸5_事故の行為別発生件数_丸6_発生要因の6項目について比較した。
6,今後の課題
今後の課題の1つは、発生要因の項目で、身体的、心理的状況、勤務状況の把握をし、事故発生との因果関係の有無を確認し対処することである。その1つとして、配属部署が変わった職員に対する業務環境整備の見直しも必要と言える。
2つめは、転倒・転落の防止、である。どの様な場合に、どの様な対応をするか、院内統一した方法が求められている。
もう一つは、情報の保護、管理の問題である。
7,おわりに
集計ソフトによる報告書の作成によって、データ集計・分析が容易になり早期に事故の原因・発生状況を具体的に表示できるようになった。その結果、各部署での事故の傾向も解るようになった。事故内容が具体的に把握できるということで、職員一人一人の事故に対する意識は高まったと考える。しかし同様の事故は引き続き起きているのが現状である。今後も、集計ソフトを活用し事故報告書の蓄積・分析を行い、その情報を職員全体に提供し、事故発生防止対策の一つにしていきたいと思う。
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