当院血液腫瘍内科は31床の無菌病棟フロアを持ち,フロア全体がISO14644–1清浄度クラス7を保っている.無菌病棟フロア全体の環境管理は重要であり,当院ではICT監修のもと手術室,ICUと同様に大規模清掃を実施することとした.国内に無菌病棟フロアに関する清掃やその手順に関するガイドライン等はないため清掃中の汚染状況と,清掃後にどの程度の時間を空けて患者を病室に戻すかが問題となった.そこで,空気中浮遊微粒子測定を用いた粉塵数測定と落下細菌試験を行い,清掃時の汚染状況について調査した.清掃中の粉塵数はワックスを乾燥させる際の送風機使用時と,複数のベッドなどを廊下に搬出する際に多く,作業完了後,粉塵数が100個/1 ft
3以下に安定するまでに要した時間は約30分であった.落下細菌試験では,清掃中は複数の箇所より細菌,酵母様真菌,糸状菌を検出したが清掃後は減少した.
清掃に関する基準がない現状において,どのような清掃を行うかは施設毎に異なる.本調査により清掃中の汚染状況が明らかとなり,複数の病室を同時に清掃する際はできるだけ区画を封鎖し,作業完了後は,30分から1時間程度は室内への出入りを制限し,粉塵を低下させることが望ましいと考えられた.
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