耐暑性および耐病性の異なるクリーピングベントグラス (
Agrostis palustris Huds.) 品種シーワイツーとペンクロスを用い, 品種間の違いが夏季の芝生品質と芝生表面に結露した水滴のEC値と無機成分濃度および葉身からのEL値と葉身の振とう抽出液の無機成分濃度に与える影響を調査し, これらの関係について検討した。その結果, 夏季の高温時のダラースポット病のパッチ数およびブラウンパッチの発病面積率はシーワイツーがペンクロスに比べて少ない傾向がみられ, 芝生品質もシーワイツーがペンクロスに比べて常に高く推移した。芝生表面に結露した水滴のEC値は, シーワイツーがペンクロスに比べて常に低く推移し, 品質評価の品種間の違いと一致した。しかし, 葉身からのEL値の品種間の違いは, 品質評価の品種間の違いを反映しない場合があった。葉身中位部の振とう抽出液のMgとCa濃度は, シーワイツーがペンクロスに比べて低く, 品質評価, 芝生表面に結露した水滴のEC値および無機成分濃度の品種間の違いと一致した。以上のことから, シーワイツーとペンクロスの夏季の生育衰退程度の品種間の違いは, 夏季の高温や病害による葉身の損傷に伴う葉身からの無機成分の溶出に影響を及ぼし, 芝生表面に結露した水滴のEC値, 葉身中位部の振とう抽出液のMgやCa濃度に反映されると考えられた。
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