本研究は、陸上競技短距離走で取り入れられているミニハードルエクササイズ時のタイムが、スプリントパフォーマンス(疾走速度、ピッチおよびストライド)と関連するか否かを明らかにすることを目的とした。被検者は大学男子短距離選手15名(100m走ベスト記録10.96 ±0.30s)であった。採用したミニハードルを用いたエクササイズは、ハードルに対し正面を向き、ハードル間に1歩ずつ脚を素早く接地するミニハードルドリルと、ハードルに対し斜め右、もしくは斜め左を向き、ハードル間に前側の脚から2歩ずつ素早く接地するクイックハードルであった。エクササイズ時のタイムは、1台目を越えて1歩目を接地した瞬間から10台目を越えて1歩目を接地した瞬間までをストップウォッチを用いて計測した。また、被検者には60mの全力疾走を2本課した。その結果、ミニハードルドリルおよびクイックハードルの各エクササイズタイムと60m走の最大疾走速度および最大ピッチとの間には有意な相関関係が認められた。本研究の結果から、ミニハードルを用いたエクササイズのタイムの短縮は、全力疾走中の疾走速度およびピッチの改善につながる可能性が示唆された。
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