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クエリ検索: "千賀健永"
1件中 1-1の結果を表示しています
  • 奥谷 文乃
    日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
    2024年 127 巻 2 号 71-76
    発行日: 2024/02/20
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

     「嗅覚障害」が COVID-19 の主症状の一つに挙げられるようになったことから, 特に若年者の関心が高まっている. 特に「嗅覚トレーニング (嗅覚刺激療法)」が芸能人によって YouTube を介して紹介されたことは社会への影響も大きい. 嗅覚刺激療法は嗅覚リハビリテーション治療の一つであり, 嗅覚伝導路のシナプス可塑性の誘導により, 機能回復を目指すものである. 末梢受容器である嗅細胞はニューロンでありながらも再生能力が高く, 活発なターンオーバーをしていることから, 活動依存性に嗅球の糸球体における僧帽細胞とのシナプス可塑性が生じやすい. これが嗅覚がリハビリテーションに向いている理由となっている. においの同定ができるようになるためには, 中枢における伝導路のシナプス可塑性が必要であるが, 著者の行っている臨床研究では, 嗅球レベルよりも困難である印象が強い. 現在の嗅覚診療の問題点は, 定量性のある検査データを示す T&T オルファクトメトリーの普及率が低いことである. 超高齢社会において, 認知機能と嗅覚の関連も関心を持たれている. 一般的に広く耳鼻咽喉科医が嗅覚障害における担当範囲を鼻副鼻腔疾患による気導性のみならず, 中枢性へと広げていく必要がある. そのためには, 嗅覚刺激療法といった中枢にアプローチできる治療法の導入とともに, 治療効果を科学的に示す検査法の導入が依然として課題である.

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