酸素同位体異常(Δ17O)は、大気中でオゾンを生成する反応において生じる。そして、大気中の硝酸や硫酸が生成される過程でオゾンが関与することで、その指標は硝酸・硫酸へと転移する。この性質を用いて、極域アイスコア中の硝酸や硫酸のΔ17O値に基づいて過去の大気酸化能の変動を復元する研究が行われてきた。しかし、アイスコア中の指標を読み解くためには、現代の南極大気中における硝酸や硫酸の生成過程の変動要因を詳細に理解する必要がある。本発表では、南極沿岸部Dumont d’Urville基地において採取されたエアロゾル中の硫酸のΔ17O値に基づき、その生成過程の季節変動について議論を行う。
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