我々は日常, 自分をとりまく世界を実体視して行動し, そのことに疑いをもたないが, 実は自己の属する文化に内在している一連の型にしたがって知覚も行動も方向づけられている。時間も空間も, この文化によるプログラミングを免れることはできないのである。
その文化に固有の空間構造, 空間図式が, 建築や庭園の形をきめている。日本庭園の空間構造を,
原広司
, E. T. ホール, M.エリアーデ等の著作によりながら考察した。その結果, 主として回遊式庭園に認められる, 時間感覚と運動知覚を伴う「旅の空間」とも言うべきものと, 狭い空間に作られる庭の, 連想によって, あるいは, 文化的な背景によって, 一種の世界認識を可能とする空間とを見いだした。
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