1) 埼玉県・群馬県・長野県の3蚕業試験場および蚕糸試験場日野桑園において3~4齢期間の飼育温湿度と桑葉の葉位別による硬軟とを組合わせて, 軟化病の発生状態を膿病のそれを参照にしながら調べた。
2) 3試験場は多角体病の発生様相にそれぞれ特徴を持ち, 群馬に多く長野に少なく埼玉がその中間に位する。
3) これらの特徴は各試験場での使用桑葉の性質に由来するものと思われるが, 桑葉水分率に帰納することは出来なかつた。
4) 3~4齢期の28℃は24℃より明らかに各型の軟化病を多くした。この際湿度の蚕体への直接の影響は少なかつたものと考える。
5) 3~4齢期の葉質として, 1枝条を上半・下半とに分けた程度の硬軟による発病への影響上の差は少ない。また差があつたとしても試験場によつてその硬軟と発病との関係が異る。
6) C型は3~4齢期が28℃の場合は24℃より明らかに多くなる。そのうちでも軟葉に多い傾向が見られた。その発病程度は群馬が最高で交雑種で3%, 原種では20%を数えた。長野ではきわめて少なかつた。
7) 3~4齢期28℃は24℃より5齢起蚕体重を重くするが繭は小さくした。繭の小さいことは28℃の方が作柄不良であつたことと関連するものらしい。
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