早稲田大学の直良信夫脊椎動物化石コレクションに含まれる完新世のマイルカ科標本2点の分類学的再検討を行った.再検討した標本のうち,WU-HNNC-D085は報告書が出版されていない称名寺E貝塚に由来する可能性が高い.WU-HNNC-D085はハンドウイルカ属(
Tursiops sp.),WU-HNNC-D084はマイルカ属(
Delphinus sp.)もしくはマダライルカ(
Stenella attenuata)の可能性が高いと考えられる.両標本とも直良の同定とは属レベルで異なる.直良コレクションには中新世から完新世の鯨類標本が多く残されており,残る標本についても再検討が望まれる.近年,20世紀に報告された化石鯨類の再検討が進んでおり,WU-HNNC-D085の例のように考古遺跡から報告された鯨類遺骸についても再検討の余地がある.
抄録全体を表示