無色透明な紫外線硬化樹脂インクによる点字 (UV点字) は, 様々な素材上に墨字と共に印刷できるため, 現在, 共用品として急速に普及している. しかし, 指先の滑りの悪い素材では触読動作中に指先が引っかかりやすくなり, そこに印刷されたUV点字が識別しにくくなると考えられる. この問題に対して, 著者らは指先を滑りやすくするとUV点字の識別容易性向上の効果が見込まれると考え, 指先を薄くて柔らかい布で被うUV点字識別補助用指サックを考案した. 本研究では, UV点字の識別容易性を向上させる道具の提案をめざして, 指サックの着用効果を検証した. 指サックの素材としては, 点字の形状が伝わりやすい薄さと柔らかさに着目し, これらの特長を備えたポリエステル長繊維不織布を採用し, 指サックを作製した. そして, その着用・不着用時のUV点字の識別容易性を識別実験により比較した. その結果, 指サック着用により速く正確に識別できることがわかった. 本研究により, 指サックを着用するとUV点字の識別容易性が向上することが明らかになった. また, UV点字識別補助具としての有効性を示すことができた.
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