【目的】岐阜県は薬草の宝庫と言われ、郷土色を持つ食材を用いた薬膳料理が多く見られる。その岐阜県の南部に位置する各務原市では、春夏と秋冬の二期で“
各務原にんじん
”を栽培しており、特産品として生産量が伸びている。そこで本研究では、春から夏にかけて収穫される
各務原にんじん
を主材料に、薬材の効用があるとされている食材を多く使用した栄養価のよい薬膳定食の開発を試みた。開発するにあたり献立の特性について検討した。【方法】30~65歳の一般男女56名を対象にセマンティックディファレンシャル法(SD法)に従い、
各務原にんじん
春夏薬膳定食の特性を調べた。なお、SD法に用いる評価用語は予備調査によって得られた「にんじん」及び「薬膳」という表現から連想された言葉とその対語の22用語とし、評価項目には5点評価尺度を設定した。データの統計処理はSPSSを用い、評価項目の平均値及び標準偏差値より
各務原にんじん
春夏薬膳定食のセマンティックプロフィールを図示し、主因子法バリマックス回転による因子分析を行った。【結果】第一因子として「食感と香り」、第二因子として「健康と栄養」が抽出された。各因子の下位尺度のα係数を算出したところ、「食感と香り」は0.85、「健康と栄養」は0.75との値が得られた。このことより、
各務原にんじん
春夏薬膳定食は、食感と香りがある健康や栄養がよい印象特性を持つ献立であることが示唆された。
抄録全体を表示