マーケティング・リサーチの分野では,従来の市場調査の領域に加え,デジタルデータ分析の領域も必要とされ,多種多様なデータを活用するインサイトビジネスが拡大している.デジタルデータ分析で利用されるビッグデータはリアルタイムに収集でき,アンケートによる実態調査の代替となることが多い.一方で,あるテーマに対する興味関心度を把握するためには,アンケートによる意識調査が有効な手段である.しかし,年次で実施されることが多い意識調査において,リアルタイム性を高めるために調査回数を増やしたとしても,回答負荷やコストの大きさから日次での継続的な実施は難しく,月次でさえも不向きである.そこで,入手しやすいWikipediaデータに着目し,個人の興味関心が反映されたデジタルデータとしての有用性を調べる.本論文では,データの種類と場所の観点からWikipediaデータの位置づけを整理し,Wikipediaページへのアクセス数の変化を可視化する方法を提案する.この方法により,コロナ禍で生活者が興味関心を持った記事ページへのアクセス数から世の中の意識変化を把握する.行動データとしてではなく,意識データとしてのWikipediaデータの役割を示す.
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