大阪平野の北部丘陵地における1945~1979年間の住宅地化の地域的展開と,その原地形の小地形的環境をメッシュ法を用いて計測・解明した.
新住宅地には,原地形の制約により,多数の坂,段,迂回路,急斜地,崖,陸橋等が存在する.住宅地化は,地形からみた開発適地から不適地へと進行した.それは,住宅地の原地形の起伏量・海抜高度・谷密度を増大し,日向斜面より日陰斜面の開発に向かう過程であり,これらは特に高度成長期以降に顕在化した.きわめて地形が複雑で,海抜高度が高い急傾斜地の開発は,比較的後期に起こり,公共施設の共用可能な既開発地の隣接地か,それと同時進行した開発地域であった.原地形のうち,住宅地化に最も強く影響したのは傾斜方向であり,緩傾斜地においても開発の初期に選択されたものは南向系傾斜地であった.以上の地域的特性は奈良盆地とも類似し,第2次世界大戦後の関西地方における住宅地化の一般的傾向と考えられる.
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