本稿は, プロジェクト・マネジメントのプロセスや方法論, 科学的研究ではカバー出来ないプロジェクト・マネージャの心の領域について述べたものである. プロジェクト・マネージャがプロジェクト期間中に遭遇するであろう問題に対処する時, 心のあり方はどうあるべきか?, 仏教哲学を通して考えようとしたものである. 筆者のプロジェクト・マネジメント経験を通して, 同時に教養としての仏教哲学を研究する中で, プロジェクトのライフサイクルで遭遇する幾多の不条理な問題が, ちょうど人生で同じように直面する問題と酷似しており, 不思議にこの2つの事柄が適合することに気付いた. この考えに基づいて, 本稿では釈迦の哲学である,「中道・
四諦
・八正道」が人間としての心のあり方として望ましいと言うだけでなく, プロジェクト・マネジメントにも有効であることを, 例をもって簡潔に伝えたいと思う. そしてプロジェクト・マネジメントに携わる方々の何らかの参考にしていただくとともに, プロジェクト・マネージャの心のあり方とプロジェクトの特質についてこれを契機に考えていただきたいと考えている.
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