のり面・斜面を対象に取得した高密度三次元座標データを用いて, “調査・設計基図としての地形図・断面図作成”, “複数時期のデータ比較によるマスムーブメントの三次元的な把握”を行い応用地質分野への有効性を検討した. その結果, (1) 短時間で安全に広い範囲の高密度三次元座標データが取得可能, (2) 高密度三次元座標データから作成する地形図は既存の手法による地形図よりも微細な地形を把握でき, 任意の箇所の詳細な断面図も作成できる, (3) スキャン地点から100m以内の距離であれば目標物が概ね10cm以上変位していれば変位を抽出できる可能性がある, (4) 目標物が存在しない場合でもスキャン地点から30m以内の距離の場合最低1cm以上, 100m以内の場合概ね10cm以上, 変位していれば移動範囲を識別できる, という成果が得られた.
また, (5) 近赤外線で物質の受光強度を計測することにより, 地層境界や断層の分布が位置情報として取得でき, 工事現場での地質観察やスケッチを省力化させることができることが明らかになった.
面的な高密度座標計測は実用化されたばかりの技術であり, 今後の応用地質分野への有効活用方法を期待する.
抄録全体を表示