本研究では，道路閉塞に関する情報提供が迂回距離に及ぼす影響について理論的に論じる．まず，格子状道路網を用いて道路網上の１地点が閉塞した際の迂回距離分布を厳密に求める．得られた迂回距離分布から総迂回距離を求め，リアルタイムの情報提供や閉鎖地点近くの交差点での情報提供が，情報が全くない場合に比べてどの程度迂回距離を削減するのかを明らかにする．そして，交差点での情報提供だけでも総迂回距離を大きく減らせることを示した．また，情報の効果と道路密度，断面交通量との関係を観察した．次に，茨城県，長野県道路網上のリンクが閉鎖された際の総迂回距離を，完全情報と情報なしのそれぞれの場合で求める．さらに，情報の効果を道路密度と断面交通量とでどの程度説明できるのかを検証する．そこでは，格子状道路網で解析的に得られた関係式が実際の道路網上においてもある程度成立することを実証した．
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