既存インフラの老朽化,人口減少の社会状況,厳しい財政状況の中,公共投資の効率性の観点から選択と集中が謳われている.選択と集中を進める上で,三便益を中心とした定量的指標による費用対便益評価が定着しているが,地方からは通常の便益評価だけでない定性的な観点から地域の実情を訴える要望活動が絶えない.本研究では,道路事業の採択や予算配分作業の実際の流れの中で便益がどのように評価されどのように政策決定されているかを分析し,選択と集中の考え方の課題,便益評価のあり方の方向性,効率性だけでなく道路のもつ本来価値や社会ミニマムの道路とは何かを考える重要性を問題提起する.
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