本稿は, イオングループのSC立地を契機に大規模な商業集積が形成された青森県柏村を事例とし, 地方都市に隣接する町村へ立地した郊外型大規模商業集積について, (1)既存の商業中心地および商圏構造に及ぼされる影響を明らかにし, (2)立地した自治体の経済活動等に与える影響を明らかにすること, の2点を主な目的としている.検討の結果, 次のようにまとめられた.(1)立地場所が人口規模の小さい村であっても, 商業集積の規模と立地条件によっては, 商圏構造をダイナミックに改変させ都市商業を脅かすほどのインパクトを有する.そのため, 従来の都市階層構造と商業における階層構造が必ずしも一致しなくなった.(2)産業に乏しかった農村地域への立地は, 特に安定した雇用機会を提供することによって若年層の人口減少や出稼ぎ労働を抑制し, 過疎化に歯止めをかけた.さらに村の自主財源の増加や産業活動の発展に効果をもたらし, 産業振興の起爆剤となった.
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