フラワーランドスケープは花をテーマとした景観づくりである。花鳥風月という言葉に代表されるように、花は長年にわたって日本の美の一つの基準として、文学や絵画、芸能、生け花などの表現の重要なテーマであった。日本の伝統である花の芸術的表現と庭園文化を融合させたフラワーランドスケープは、環境の時代と呼ばれる現代に相応しい環境芸術の一つとして位置づけることができる。近年、都市の景観やコミュニティづくり、人々の生活の豊かさや、潤いを創出するものとして、花いっぱい運動やコミュニティガーデンが各地で盛んになり、社会的ニーズも高まってきている。拙論はハウステンボスの2.5haの規模を持つ2008年に建設されたアートガーデンを事例として、フラワーランドスケープの表現とデザイン手法についてまとめたものである。フラワーランドスケープにおけるデザイン手法を空間、時間、色彩、植物のそれぞれの視点から明らかにすることにより、その特性を浮かび上がらせ、これらの要素を一つのガーデンの内に再び結晶させることで環境芸術としの光彩を放つことができると考えた。また植栽する植物の種類を吟味し、管理技術を確立することにより、持続可能なフラワーランドスケープが確立できた。
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