Shrawan Danda Landslideは1998年8月12日に西ネパールのRupandehi地方Butwal地区で発生し, 大規模土石流により犠牲者1名, 負傷者5名, 全壊37軒, 半壊66軒の被害があった。この災害の原因を調べるために地形・地質図および空中写真の判読, 現地視察を実施し地すべりの誘因分析と危険度解析を行った。Siwalik丘陵における地形・地質的誘因として, 当該地域は地殻運動が非常に活発で, 地すべりが多発していること, 基岩の砂岩は節理が発達し, 破砕しており, その上にある強風化泥岩には崩積土と残留土, 粘土が見られることが挙げられる。傾斜は, 衝上構造の前面で40°~65°まで分布している。さらに, 1998年8月11日からの豪雨により地下水位が上昇したため表面から深さ30mの泥岩と頁岩が飽和し, せん断強度が減少したのが原因と考えられる。Shrawan Danda地すべりは, 古い複合すべりである。土量667, 000m
3と推定される地すべりの頭部のブロックは, すでに元あった位置から開析され移動したと考えられた。この一部分は後方へ滑っており, 正面の部分は不安定で, トップリングしかけている。198, 000m
3が大雨の問, 土石流として動くことができる完全な飽和して傷つきやすい状態であるので, 地すべりの中腹の一部にゆるい材料が見られる。この斜面では別に20万m
3程度の潜在地すべりブロックが15個あり, Butwal地域のLaxminagar地区とJyotinagar地区のセツルメント (低所得者層のための住居提供政策地域) に住む10, 000人以上の住民とインフラが現在も深刻な危険に瀕している。
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