乾燥地では、枯れ草植被率がダスト発生臨界風速に影響を及ぼし、その結果、ダスト発生に影響する。しかし、枯れ草植被率がダスト発生に与える影響を定量的に調べた研究はほとんど存在しない。本研究は、2001~2021年のダストが頻繁に発生する3月と4月のゴビ砂漠とその周辺地域におけるダスト発生及び3種類の定義による強風発生頻度の時空間分布を調べた。それぞれの強風の定義で予測されるダスト発生とダスト発生の観測結果によるスレットスコアを用いて、枯れ草の変動がダスト発生に及ぼす影響を評価した。我々の結果はMODIS Soil Tillage Indexから算出される枯れ草は3月よりも4月において顕著にダスト発生に影響していることを示している。このことは、3月は枯れ草に加え、土壌の凍結融解や積雪といった地表面パラメータについても考慮する必要があることを示唆している。しかし、4月は枯れ草植被率のみで推定される臨界風速を用いることで、ダスト発生の予測精度が向上した。これより、枯れ草植被率が4月のダスト発生の変動を支配する重要な要因であると言える。これらの発見は、枯れ草植被率の推定をダストモデルに応用すべきであることを示唆している。
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