空腸の腸間膜付着側で穿孔した原発性非特異性小腸潰瘍の1例を経験した.症例は67歳の男性で, 下腹部痛を主訴として来院した.胸腹部単純X線写真にて消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.Treitz靭帯より肛門側約1mの空腸の腸間膜付着側に直径約1mmの穿孔を認め, 腸管部分切除術を施行した.切除標本にて原発性非特異性小腸潰瘍と診断した.本邦では空腸のみに発生した原発性非特異性小腸潰瘍の報告は本症例を含め15例と比較的まれであり, 回腸発生例45例に比べ高齢者に多かった.従来, 本症は腸間膜反対側に発生するものが多いといわれてきたが, 空腸発生例では腸間膜付着側に多く, 穿孔をきたすものが多かった.手術死亡は穿孔例で高率となるため, 本症を念頭においた早期診断に努めるとともに, 穿孔例に対しては可及的速やかに外科的治療を行うことの必要性が指摘された.
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