比較的稀な乳腺アポクリン癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は57歳,女性で,左乳房腫瘤を主訴として来院した.腫瘤は乳房全領域に及ぶ10×10cmの大きなもので,弾性硬,境界不鮮明,表面は凹凸不整で皮膚と癒着し潰瘍を形成していた.胸部固定はなかったが,左腋窩に小指頭大のリンパ節を触知した.精査の結果, T4b, N1b, M0, Stage III-bの乳癌と診断し,定型的乳房切断術を施行した.術後の組織診断で,乳腺アポクリン癌と診断された.術後経過は良好で現在外来にて経過観察中である.
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