埼玉県桶川市川田谷の荒川河畔の牧草地において, 1975年10月~1977年3月までに採集したハタネズミ1139個体を用いて, 主に繁殖活動について調べた。
1.性比は雌672個体に対して477雄個体で, 雌の方が多く採集された。雄の方が多かった月は, 1976年1月と4月の2ヶ月のみであった。
2.精巣長径は冬期に低下するが, 春から秋にかけては10mm以上の大きさを維持していた。
3.妊娠率は冬期に低下するが, 春から秋にかけては40%以上を保っていた。また, 冬期でも1976年1月のように高い場合もあった。
4.一腹胎児数は1~8頭, 平均4.5頭で, 春~秋にかけて高い値を示していた。
5.妊娠率, 精巣長径の変化, 一腹胎児数の変化などから, 桶川におけるハタネズミの繁殖期は春~秋にかけてであるが, 特に繁殖が盛んなのは春と秋であると推定された。しかし, 年によりかなり変動的であり, 冬の繁殖もみられるところから周年繁殖が可能であると思われた。
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