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クエリ検索: "報知高校野球"
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  • 連帯責任を伴う処分が維持される背景
    竹村 直樹
    スポーツ社会学研究
    2018年 26 巻 2 号 67-81
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/15
    ジャーナル フリー
     高校野球の世界では、不祥事が発生した場合、当該の高校ではなく競技団体自らが処分を決定している。本稿では、その処分の中でも、他競技が加盟している競技団体には見られない「連帯責任」を伴う処分規約に注目をし、競技団体の権限によるこうした処分が、なぜ存在しているのかについて、その歴史的経過や社会的構造との関わりを通して明らかにする。
     戦前、現在の高校野球の前身である中等野球には、それを統括する全国的な組織はなく、民間のメディアが中心となり大会を催していた。しかし、文部省(当時)は、メディアイベントに対する商業主義への懸念や、生徒の競技への偏重に対して、1932 年に「野球統制令」を施行した。以後、中等野球は大学野球とともに国家による統制の中で行われていた。しかし、この統制は、野球を興行的に利用する部分への歯止めが主な役割であり、部員の不祥事に対して「連帯責任」を伴う処分は規約の中に制定されていない。
     「連帯責任」を伴う処分は、戦後、国家と個人を媒介する中間集団として民主的に設立された競技団体によって、集団内の基本要綱として制定された学生野球憲章の中で初めて成立したものである。不祥事を起こした当該者だけではなく、野球部を一つの単位として下されるこの処分は、現代社会において、たいへん理不尽で封建的な印象が強い。しかし、その始まりは高校野球が再び国家統制へと導かれないために設けられたもので、行政機関へ対抗した自主規制であるということがいえる。
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