河道設計においては洪水のピーク時における流量の確実かつ正確な観測が不可欠である.しかし,常用される観測手法は昼夜と天候の影響を受けるためその実現は難しい.本研究では,可視光に依存しない地上マイクロ波レーダーから得られたエコーデータを用いた流量の定量化を試みた.まず,レーダーで測定されたノイズや誤差を含むエコーデータに対して信号処理を行い,ノイズ除去と欠損補間ができることを示した.信号処理後のエコーデータにSTIVを適用し,時空間画像と流速の横断分布を得た.この時空間画像中の流れに由来する縞模様は概ね同じ角度となり,エコーデータに対するSTIVの適用性が認められる.推定流速と横断測量データを用いて算定した流量は,2つの洪水において水文水質データベースで公開される流量と概ね一致する結果を得た.
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