地方自治体では,財政の逼迫・技術者不足が深刻化しており,すべての橋梁を健全な形で維持することは困難である.こうしたことから,近年,橋梁のトリアージによるメリハリのある維持管理が注目されている.本研究は,石川県輪島市をケーススタディ地域として,橋梁の補修による片側交互の通行規制によって生じる道路利用者の社会的損失を計測・評価することを目的とする.橋梁の通行規制前後で交通量配分を行い,道路利用者の社会的損失(総旅行時間の変化)を計測した.その結果,通行規制によって社会的損失が生じない橋梁が複数存在することがわかった.また,劣化が進行している橋梁の中でも社会的損失に差があることを示した.本手法を適用することによって,橋梁の撤去・補修の優先順位(トリアージ)を定量的に評価できることが明らかとなった.
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