ドライクリーニング用有機溶媒浸せき時及び脱溶媒時の絹糸の寸法変化と溶媒処理された絹布の風合いについて水処理の場合と比較検討した。石油系, 塩素系有機溶媒と水に浸せきされた絹糸は膨潤伸長し, 脱溶媒時に収縮した。絹糸の膨潤率及び収縮率は比較的小さく, その膨潤率は, 水>塩素系>石油系溶媒処理の順に小さかった。絹糸はフッ素系溶媒中で一旦収縮し, ついで徐々に膨潤して元糸長に戻り, 脱溶媒により, 更に収縮したが, その収縮率は比較的小さかった。絹布の各風合い値は, 各溶媒処理により, 大きな影響を受けず, 特に石油系溶媒の影響は少なかった。従って, 溶媒処理中に機械力が作用しなければ, 織糸の長さが溶媒処理により, 多少変化しても, 織組織に対する影響は少なく, 織物の風合いも損傷されないと考察され, 特に, 石油系有機溶媒は絹織物のドライクリーニング用溶媒として優れていると結論された。
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