東北日本の中新世,鮮新世,洪積世の地層および種々の現世環境から採集した二枚貝の貝殻中のマンガンおよび鉄の含量を定めた。
化石貝殻のマンガンおよび鉄含量,とくに中新世のものの鉄含量は変動が大きい。化石貝殻のマンガンの平均含有量は,洪積世を除けば統計的に現世貝のそれと差異がなかった。
三つの種属の貝殻の平均のマンガンおよび鉄含量は,つぎのとおりである。
イタヤガイ科:Mn160±40ppm,Fe400±200ppm
タマキガイ科:Mn140士30ppm,Fe90±33ppm
サラガイ科:Mn80±30ppm,Fe70±20ppm
一枚の化石貝殻中では,マンガンおよび鉄は内部よりも表層部に多く含まれている。化石貝殻を取り囲んでいた母岩中の両元素も定量した。
マンガン,鉄およびマグネシウムの"fractionation ratio"を算出し,その意義を検討した。
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