兵庫県豊岡市城崎温泉は外湯周辺に集積する小規模宿泊施設が中心であり,これらの宿泊客は近隣府県からの若者や女性が多く,欧米からの外国人観光客も増加している.近年の城崎温泉の活況は2000年代後半から取り組まれた観光まちづくりの成果ともいえる.本研究では近年の城崎温泉の観光事業,宿泊施設,宿泊客の特徴を明らかにし,観光まちづくりを推進するリーダー集団の人間関係に着目した.観光まちづくりは20歳代~40歳代の若手・壮年の男性がリーダー集団となり,観光業以外の職業の住民も参加する点に特色があることが分かった.歴史的にみると,内湯騒動の経験が温泉街全体で栄える「共存共栄の精神」を生み,伝統的祭礼が異年齢でさまざまな職業の人々を結びつけ,若手・壮年に委任する祭礼の仕組みが観光まちづくりも若手・壮年の男性に任せるという地域特性を形成したことが明らかになった.最近では観光事業への女性の参加や周辺地域との協力関係もみられる.
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