1990年代、日本のアニメはキャラクター造形のための「視覚的データベース」と「声のデータベース」を洗練させた。通常これら二つのデータベースは、相互補完的に作動しキャラクターを構築するが、両者がずれる可能性は常に存在し、新しいキャラクター類型を生み出すこともある。「美少女戦士セーラームーン」(1992-97)の
天王はるか
はその最たるものである。彼女を構成する視聴覚的側面はデータベースから逸脱し続け、彼女にジェンダーの境界を何度も越境させる。東浩紀が指摘する「データベース消費」の傍らで、当時のフェミニスト批評は、動かされ声を与えられるキャラクターの自由を発揮するはるかに鋭く反応し、ジェンダーとセクシュアリティの多様性と可能性を示す身体として受容していた。
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