昆虫の性フェロモン研究は,害虫管理への応用に対する期待が一つの強い動機づけとなって進んできた.性フェロモンの研究は当初ガ類を中心に進んだが,これにはガ類に農作物の重要害虫が多く含まれることも関係している.本稿では,ガ類の性フェロモンの種特異性が生まれる仕組みをその生合成経路に基づいて説明し,最近の動きである,植物に昆虫の性フェロモンを生産させる試みについて触れる.また,研究の進展にともない,その応用が模索されているコナカイガラムシ類,アブラムシ類,カミキリムシ類の性フェロモンについて触れる.
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