本論文では、日本の国土計画における即地性について、3空港問題、広域連携、道州制論議など多くの広域課題が見られ、策定過程の文書が多く公開された近畿圏の広域地方計画の実証分析によって明らかにし、その課題について考察した。研究手法として、同計画協議会・幹事会・学識者会議の文書を全て取得し、検索機能などを用いて整理・分析するという方法をとった。その結果、近畿圏広域地方計画には、圏域に必要と思われる事業・施策の即地的な記載がある程度見られたが、公開された文書から判断される限りでは、即地的な記載の基準や即地性のある提案が却下された理由には曖昧なものが少なからず見られ、判断の揺らぎも見られた。また圏域にとって重要な様々な施策・事業の即地的記載で、国の意向が強く反映されたこともわかった。
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