近年英語から翻訳されたテリー・イーグルトン『希望とは何か』、クリ ステン・R・ゴドシー『エブリデイ・ユートピア』、レベッカ・ソルニッ ト『暗闇のなかの希望』の3冊は、エルンスト・ブロッホの『希望の原理』 に言及しながら、絶望的状況のなかで希望をはぐくむ重要性を語るところ に共通点がある。とはいえ、イーグルトンが絶望的状況こそが希望を産む という弁証法に頼りがちなのに対して、ゴドシーとソルニットは、そのよ うな状況のなかでも希望の芽を見いだし、これを育てていく人間の行動こ そが重要だと説く。この対照が 3 人のブロッホ評価とも重なり、イーグ ルトンがブロッホに見当外れの批判を加えるのに対して、ゴドシーとソル ニットが『希望の原理』の所論に深い理解を示している点が興味深い。
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