第二海堡は明治時代、首都東京を防備するための要塞として東京湾口に造られた人工島である。明治22年(1889)に基礎工事が着工され、大正3年(1914)に大砲を据え竣工したが、大正12年(1923)の関東大震災によって被災した。第二海堡の最下部に使用された石積み間詰めのコンクリート、ならびに27cmカノン砲台の円形周壁と砲座基礎部から採取したコンクリートコアを用い、偏光顕微鏡観察を行った。その結果、石積み間詰めと円形周壁には竪窯焼成のセメントが使用されており、建設当初のものであることが、一方、砲座基礎部には回転窯焼成のセメントが使用され、またセメント粒度が細かいことから昭和に造り替えられた部分に対応することが判明し、使用材料の評価に加え建設年代を捉えることもできた。
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