居住者へのシロアリ防除剤暴露について, 室内に静置した精白米中シロアリ防除剤濃度を指標として調査した。調査は, 2007年から2016年に関西圏の一般家庭を対象として行った。精白米を台所等に1週間放置して室内空気を暴露させることにより, 室内空気に含まれる殺虫剤を精白米に吸着させた。調査対象物質はシロアリ防除剤として使用された有機リン系殺虫剤のクロルピリホス, ダイアジノン, フェニトロチオンおよび有機塩素系共力剤S-421である。精白米は, アセトン・ヘキサンによるホモジナイズ抽出後, シリカゲルカラムで精製した。クロルピリホス, ダイアジノン, フェニトロチオンはGC-FPDで, S-421はGC-ECDで定量した。有機リン系殺虫剤の検出頻度はクロルピリホスで9/244, ダイアジノンは検出されず, フェニトロチオンは12/244であった。最高値はクロルピリホスで35 ng/g(2008年), フェニトロチオンは4.3 ng/g(2016年)であった。クロルピリホスが検出された9例のうち6例において2003年以前にシロアリ防除を行っていたと推察された。S-421は分析した216例中214例から検出され, 最高値は29 ng/g(2008年)であった。S-421の検出頻度は高いが, 経年的に濃度レベルが減少していることがわかった。
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