トリオクチルアミソ(TOA,R
3N)のベンゼソ溶液によるシュウ酸水溶液(40.0±0.2℃)からのイソジウム(III)イオンの抽出挙動を種々の方法で検討し,有機相中へ抽出されたインジウム(III)化学種の組成を推定した。さらに,インジウム(III)化学種をゲル浸透クロマトグラフィーにより分取精製し,元素分析,化学分析,IRスペクトルなどによりその組成式を(R
3NH)
3ln(C
2O
4)
3と決定した。つぎに,有機相中で生成し,インジウム(III)イオン抽出において重要な役割をするTOAシュウ酸水素塩(R
3・NHHC
20
4と表示する)について,そのべソゼソ溶液中における会合状態を蒸気圧浸透法により,分子量を測定し,分子量の濃度および温度依存性から検討した結果,R
3NHHC
20
4は研究で用いた濃度範囲において二量体(R
3NHHC
20
4)Eを生成し,その生成熱が約-31.8kJ・mol-1であることを見いだし,二量体(R
3NHHC
20
4)
2の生成が水素結合によるものと推定した。また,(R
3NHHC
20
4)
2によるインジウム(III)イオソの抽出を考察した結果,二量体による抽出反応を考えることにより,より正確にイソジウム(III)イオソ抽出を理解できると推定した。また,精製した(R
3NH)
3In(C
20
4)
8のベンゼン溶液を用いて蒸気圧浸透法によりその分子量を測定した結果,無限希釈における分子量の値は,その式量とほぼ一致するが,ペソゼソ溶液中で(R
3NH)
3ln(C
2CO
4)
3は二量体を生成していると結論できる.
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