明治以前の土木遺産の評価は、近代土木遺産の評価とは異なる困難が存在している。西洋型の土木工学という科学に基礎をおいたもの造りとは異なる発想があり、これによれば、今日のような、土木、建築、造園、都市計画等々に細分化された視点では、土木遺産という構造物自体の評価もできないのではないかと危惧される。
本小論は、西欧と江戸期の石橋を、比較文明論の立場から考えることを提案する。ただし今回は紙面の都合で、1) フランスにおける軍事土木から民生土木への移行の実体、2) 日仏の土木技術の変遷の比較、3) フランスの石橋技術の変遷、にしぼって論じる。
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