眞葛焼は、初代
宮川香山
(1842-1916)が明治維新後の1871年に横浜に築いた窯から生み出された。京都で代々陶芸を生業にしていた家に生まれた香山がこの窯を横浜に築くにあたり、「国家を豊かにする輸出用陶磁器を作り、国内外で日本美術の名声を得るために」とその決意を述べているように、海外に向けての陶磁器を作ることが一つの目的であった。
このように、香山は輸出用陶磁器の制作を意識しており、当時の国際見本市ともいえる数々の万国博覧会にその作品は展示された。横浜に眞葛窯が開かれた5年後の1876年のフィラデルフィア万国博覧会にも出品している。
本報告では、このフィラデルフィア万国博覧会における眞葛焼を中心に、当時の眞葛焼を巡る状況についても考察している。
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