【目的】熱感や温感を感じるときに燃焼中の艾を取り除く知熱灸では、 燃焼した艾の割合を取り除く際の目安にしてきたが、 7分から9分と範囲が広く、 温度は異なると考えられる。 本研究では、 目標の温度で艾を取り除くために、 形状や硬さが異なる艾を用いて、 温度と燃焼部の高さの関係を明らかにする。 【方法】艾は、 底面径が20mmと10mmの円錐形状として、 艾高さと艾密度を変化させた。 檜板上に設置したK型熱電対を用いて艾底面中央部の温度を測定した。 温感が得られる上昇温度ΔTの目標値を15℃として、 燃焼時間は点火から15℃、 加熱時間は1℃から15℃の時間とした。 艾底面から燃焼部の距離を燃焼部高さとした。 【結果】艾が高くなると、 燃焼速度、 燃焼時間、 加熱時間のいずれも増加した。 艾密度が高くなると、 燃焼速度は低下し、 燃焼時間と加熱時間は増加した。 艾高さや艾密度を変えても、 ΔT=15℃となる燃焼部高さは殆ど変わらず、 底面径の半分になった。 燃焼部高さと艾形状の関係を詳細に検討するために、 上昇温度を定式化した。 艾が高く艾密度が低い場合は、 ΔT=15℃となる燃焼部高さは底面径の半分より高くなった。 艾が高く艾密度が高い場合は、 輻射光の1秒あたりの熱量は低下した。 【結論】温感が得られる目標値としてΔT=15℃で艾を取り除く場合、 艾高さや艾密度を変えても燃焼部高さは殆ど変わらず、 底面径の半分が目安になる。 艾が高く艾密度が低い場合は、 若干早目に艾を取り除くとよい。 艾が小さく軟らかいほど1秒あたりの熱量が大きく、 加熱特性が向上すると考えられる。
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