文化的生態系サービスは恵みの生成と享受の構造が捉えにくいため,生態系サービスの内在的価値の内容を吟味し,人々の価値を表現する「語彙」を増やしてゆく必要がある.本研究では,富士山を擁する静岡県の人々が富士山から日常的に享受している文化的サービスの価値を,140曲計154番の小学校校歌を素材とした読み解きをもとに明らかにした.各小学校からの富士山の可視/不可視分析,校歌歌詞データのテキストマイニング,さらに歌詞の文意の読み解きを通じて,文化的サービスの「場所の感覚」「審美的価値」「精神的価値」「教育的価値」「宗教的価値」に分類できる歌詞表現を計22種類抽出し,富士山のもつ内在的価値を多元的に把握することができた.
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