1970年から1985年の間に, 新潟県内で68例の牛白血病の発生がみられ, これら症例について臨床および病理学的検討を行い, 以下の成績が得られた.
発生68例中, 検索対象牛は43例で, その内訳は成牛型31例, 胸腺型7例, 子牛型3例, 皮膚型1例, および脾腫所見を特徴とした例 (脾型) が1例であった.
臨床所見では, 各型ともに一般症状の悪化がみられた.成牛型では直腸検査により骨盤腔内に腫瘤が高率に触知された.胸腺型では胸前部の腫脹が, 子牛型では体表リンパ節の両側性腫脹がみられた.皮膚型では皮膚の著名な腫瘤形成が認められ, 脾型では特徴的な所見を欠いていた.
病理所見では, 成牛型は消化器系, 泌尿器系, 生殖器系臓器およびその付属リンパ節ならびに周囲結合織に腫瘤形成を伴う腫瘍病変が高率にみられた.胸腺型では胸腺, 肝臓, 脾臓, 骨髄およびリンパ節などに腫瘍性病変が認められた.また, 子牛型においても同様な変化が認められたが, 胸腺に腫瘍性病変はみられなかった.皮膚型では, 皮膚の腫瘍性変化以外, 他の臓器に変化は認められなかった.脾型では, 脾臓および胸腔の一部リンパ節に腫瘍性病変がみられた.
BLV抗体は, 成牛型の検索例全例および脾型に陽性が認められた.
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