1.1963年12月から1968年4月までの間,長野県下におけるオナガの分布と雛の移動について調査した。
2.オナガは,長野平,松本平,上小盆地,佐久平などには分布したが,伊那谷,木曽谷,諏訪盆地には分布がみられず,分布地域と非分布地域が大きく二つに分かれていた。
3.垂直分布は,飯山の310mから霧ケ峯の1,600mにおよび,それ以上の山地,亜高山帯にはみられなかった。
4.気温,降水量との関係は年単位では,みられなかった。積雪3mの地域にも生息し,積雪の有無にも関係はみられなかった。
5.生息域の植生は,住宅地,果樹園,広葉樹林,針葉樹林など多岐にわたった。そのなかで,住宅地や果樹園,人家附近の樹林との結びつきが大きかった。
6.雛の移動範囲は,所属の群の日中行動圏内にあった。巣から20~570mの地点で発見された。
7.雛の巣立後の月令と移動距離との間には,関係は認められなかった。
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