肉芽腫性乳腺炎(granulomatous lobular mastitis)は,乳腺原発の肉芽腫性病変の一つで稀な疾患とされる.腫瘤を形成し,しばしば乳癌との鑑別が重要になることがある.症例1は41歳,女性.平成14年12月頃に左乳房腫瘤を自覚し,近医で精査施行されるも,確定診断に至らず,マンモトーム生検を希望して平成17年3月当院を受診した.左C領域に大きさ20×15mm大,連珠型の弾性硬の腫瘤として触知された.既往歴として不妊治療にて胎盤性性腺刺激ホルモン,下垂体性刺激ホルモン, Gn-RH誘導体等のホルモン療法薬を投与されていた.平成16年7月,超音波ガイド下マンモトーム生検を施行.組織は巨細胞と周囲の類上皮細胞を伴った肉芽形成がみられ肉芽腫性乳腺炎と診断された.診断後2年経過しているが,再発することなく現在経過観察中である.症例2は51歳,女性.平成18年2月乳癌検診にてマンモグラフィーで異常を指摘された.超音波,造影CT, 穿刺吸引細胞診を施行されるも確定診断が得られずマンモトーム生検を施行した.症例1と同様の組織結果であり肉芽腫性乳腺炎と診断された.
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